2008年02月04日(Mon)

雨の塔 宮木あや子

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雨の塔雨の塔
(2007/11)
宮木 あや子

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外界から遮断された「陸の孤島」と呼ばれる学校に閉じ込められた4人の少女達。閉じた空間の中で、彼女達は互いに求め合い、傷つけあい、拒絶しつつ、ただ「愛」を求めてもがく。それがどんなにゆがんだ形の愛であっても。孤独と絶望を知る彼女達の向かう先にあるものとはいったいなんなのか・・・?

表紙のとおり、鳥籠の中に捕らえられた姫たちの話。
彼女達は自分の意思では何一つ決定出来ず、時が来たら利用されるひとつの駒でしかない。

前作「花宵道中」は鮮やかで、切なくて、美しかったのだけれど、今作は鮮やかさのかわりに虚無感があった。
読み終わっても、全くとらえどころがない。
空虚だなと。
内容が空虚なのではなく、「空虚さ」をめいっぱい表現した、という感じ。


これは女だけの世界を書いていて、ここに男は必要ない。
まぁいわゆる百合小説といわれる話なのかもしれないけれど、その言葉ひとつで括ってしまってはいけない気がする。

なんというか、百合とかそういうのって、男と女が存在して、そのうえで同性を選んでいるっていう意思があるように思うのですが、これはもう選択する部分が何もなかったように思うんですよ。
彼女達は自分の境遇に絶望し、希望を持たず、常に受動的に生きてきて、愛情とかそういう温かなものは向こうから与えられるくらいしか手に入れることは出来なかったんですよね。
だからたまたま愛を与えられたのが同性の友達で、寄り添える温かなものはそれしかなかったから、彼女達はそれに依存したのだと。
そこに女を愛している、女じゃないとダメだ、という意思はなかったはず。
そういう意味で、ただ単に百合小説というわけではないのでは、と思うのです。


今回は自分の立ち位置がはっきりしていて、感情移入するとか、共感するとかそういうことはほとんどなく、ただ彼らの生活を見つめている傍観者だった、という感じです。
静かに静かに。何の感情もなく、淡々と。


微妙なバランスで回っていた4人の世界は、ちょっとしたきっかけで崩れていく。
その後に待っていた未来にも、特に救いがあるわけではなく、また淡々と世界は回る。
その無常観には、少し見えた希望すら萎えてしまう。
話全体を通して、そんなやるせなさみたいなものを感じた。

花宵道中はとても好きなのだけれど、コレは正直ちょっと合わなかったかなぁと。
女特有の粘性が前面に来ている感じで、ちょっといっぱいいっぱいになってしまいました。
この静かな空気は好もしいんですが・・・。うーん。
とりあえず次も出たら読むつもりでいるので、今度は肌に合ってくれるといいなと思います。

読了日:2008/1/13
 
│posted at 16:25:03│ コメント 2件トラックバック 1件
■この記事へのコメント
≫藍色
URL│posted at 2008-03-13(Thu)04:13│編集
私も感情移入できなくて、そのまま眺めていた感じです。
え?百合小説だったんですか?でも爽さんが書かれているように、意思を持って選べなかったので、ちょっと違うニュアンスになってると思います。
少し毒気に当てられたような気もしました。
新刊「白蝶花」は、よかったですよ。ちょっとオススメできる内容です。
≫爽
URL│posted at 2008-03-13(Thu)10:46│編集
巷では「花宵道中」も百合だと言われてるらしいですよ〜。でもその辺の線引きって人による部分が大きいのでなんとも言えないですよね。
確かに何か尖ったものを感じました。やや怨念めいている部分もあったように思います。
「白蝶花」は現在図書館で順番待ちです〜。でもあらすじを読んだところから、かなり良さそうな内容だなと!早く読みたいです☆
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posted at 2008-03-13(Thu)03:47
装画は鳩山郁子。装丁は柳川貴代+Fragment。書き下ろし。 特別な全寮制の学校に幽閉された四人の少女―矢咲、小津、三島、都岡の物語。 買い...
posted by 粋な提案
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