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秋の牢獄 恒川光太郎

2007–12–22 (Sat) 16:06
秋の牢獄秋の牢獄
(2007/11)
恒川 光太郎

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11月7日。朝起きて、講義を受けて、友人と昼食を取り、一人暮らしのアパートに戻って一日を終える、ただそれだけのありふれた日常のひとコマだった。はずだった。雨の音で起きた藍が目にしたのは、昨日と変わらぬ講義、同じ話ばかり繰り返す友人…。その次の日も、そのまた次の日も、彼女はひたすらに11月7日を繰り返す。いったい彼女の身に何が起こったのか?繰り返される一日に閉じ込められた人間を描く表題作のほか2編を含む、恒川光太郎ワールド全開の短編集。
なんだかんだ言って恒川光太郎は全部読めていることに気づいて驚き。
うーん、なんだか最近ブログ開設前の読了本をもっと増やして、記事を豊富にしたいなぁと思っているところです。
せっかくコンプリートしている作家さんがいるので、そういう方の記事を中心に書いてみようかなぁ。

そういや小耳に挟んだ情報によると「夜市」は映画化が決まっているみたいですね。
映画化したら見に行きたいなぁ。

話を戻します(笑)

表題作「秋の牢獄」のほか「神家没落」「幻は夜に成長する」の3編の短編集。
テーマは「閉鎖」。閉じ込められたものたちの情念を描く。

読み出したらはじめの2、3ページで引き込むところはさすがというか。
ホラーって実はすごいニガテなんですけど、恒川さんの作品はとにかく雰囲気が好みで、すらすら読めちゃうんです。きっと肌に合っているんだろうなぁ。
そしていつものことながら情景描写が鮮やか。「神屋没落」のあの静けさのなかに佇む家の慎ましさ、自然の彩り、空の美しさにはうっとりしました。

「秋の牢獄」の設定自体はそんなに突飛なものではないと思います。
でも使い古された設定だからこそ作者の味が生きるのかな、とか生意気にも思ってみたり。

おどろおどろしく、救いのない終わり方は恒川さんらしいといいますか。
なぜリプレイするのか、リプレイヤーはいったいどうなってしまうのか、11月8日はやってくるのか、そもそも北風伯爵とは何者なのか・・・。
閉じられた世界に、解決という出口を作らずに、この話は終わる。
その諦めにも似た恐ろしさがじっとりと体の底から沸いてくる感じがしました。
ぞっとするとか、そういう感じじゃない、もっとゆっくりとした怨念みたいなものですかね。

でも一番印象に残っているのは「幻は夜に成長する」です。
最後の最後、自身が育て上げた怪物の手によって、目の前で人間が絶命していくさまを見るリオの様子が、とても頭の中に残っています。
はじめのリオはもっと普通の女の子として書かれていたけれど、最後のこの様子を見て、リオは幽閉の結果こうなってしまったのではなく、もともと内にこのような気性を持っていたんじゃないかと思いましたね。それが彼女の本性なんじゃないかと。
溢れてくる幻術の力を閉じ込めていた彼女は、もしかしたら「普通の女の子である自分」という幻を見ていただけだったのかもしれない。
祖母はもともとそれを見抜いており、長い年月をかけて、男達に復讐するためにリオを利用したのかなぁ、と。

恒川さんの本、読んでるときはいいんだけど、読み終わったあと数日は異界への入り口に紛れ込んでしまうかも、という心配が、頭から離れません・・・(^_^;)
困った(笑)

読了日:2007/12/1
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コメント

コメントありがとうございました

爽さん こんにちは
はじめまして、コメント&TBいただき、ありがとうございました。恒川さんの物語はもちろんですが、文章文体に独特の雰囲気があって、その辺りがとても魅力的ですね!!
夜市、映画化ですか? それは楽しみですね!!

yoriさん、こんにちは。
こちらこそ、コメント・トラバありがとうございました。
あの独特の雰囲気はクセになります(笑)怖いけど、怖いものみたさで読んでしまう、そこらへんのひきつける力に驚かされます。
映画化らしいですよ~☆楽しみですよね!まだもうちょっとかかるみたいですけど、ぜひとも美しく幻想的に仕上げてほしいです。

こんばんは。
コメント&TB、ありがとうございました。
私もホラーはとても苦手なんですが、恒川さんの描き出す世界に魅了されたような感じです。
説明のつかない現象に対して無理に説明をしないからこそ作品世界のリアリティが生まれるような気もしました。

こんにちは。
こちらこそコメント・トラバありがとうございました。
完璧なホラーだと怖くて困るんですが、この独特の魅力は読んだものを虜にしますよね。
イメージ的にTVの「世にも奇妙な物語」シリーズとよく似ていると思いながら読んでます(笑)
確かに「リアリティがないこと」が逆に「リアリティを出すこと」につながる、っていうところこそがホラーの面白さなのかもしれません。

爽さん、こんにちは。
お初にお邪魔します。かわいいブログですね☆
私は豊島さんが好きなので、その記事もふむふむとよませていただきました。
コメント・TBありがとうございました。


>「秋の牢獄」の設定自体はそんなに突飛なものではないと思います。
でも使い古された設定だからこそ作者の味が生きるのかな

そういうのがうまい作家さんですよね。
世界に浸って読後にぼ~っと放心状態になってしまう。

sonatineさん、こんにちは!
こんな辺境まで来てくださってありがとうございます♪
豊島さんいいですよね~、今まで読んだ豊島作品はほとんどハズレなしで、お気に入りなんです。

恒川さんはいつも独特の世界観を出すのが上手くて、あっという間にその世界に引き込んでくれますよね。違和感がなく、とても自然に。
私は大体電車の中で本を読むのですが、恒川作品の読後はなかなかその世界から出てこれないので、外で読み終わるのを避けます(笑)

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