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悼む人 天童荒太

2009–04–05 (Sun) 14:39
悼む人悼む人
(2008/11/27)
天童 荒太

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悼む人は、誰ですか?―全国各地で、亡くなった人を「悼む」ために訪ねてあるく坂築静人。彼のその行為は、尊いことなのか。それともただの偽善なのか。旅先で会った者たちの心に、静人はなにを残していくのか…。静人に関わる人々が、それぞれの「死の受け止め方」を模索する。


天童荒太初読みです。
なんとなくイメージ的にこんな重い話を書く人だと思ってなかったので、ちょっとびっくり。

直木賞受賞ということで、ネットを見ればレビューが山ほどあるんですが、受賞後は一切チェックしてません。
大きい賞を獲ると読む前から情報過多になっちゃって、楽しめなくなるのが残念なので。

物語は蒔野抗太郎(目撃者/偽善者/捜索者)、坂築巡子(保護者/代弁者/介護者)、奈義倖世(随伴者/傍観者/理解者)の、3人の視点から綴られます。

うーん、ちょっと感想難しいんですけど、一言でまとめると、共感は出来ない、って感じ。
静人の「悼む」行為とか、
蒔野や倖世のちょっとゆがんだ価値観とか、ね。
この2人、これほどまでに大きな闇の塊を抱えたままここまで来てるってことは、心の闇はすっごい深いと思うんですよ。
それが、静人の生き方を見たからって、こんなに簡単に感化されるものなのかな?って。
なんとなく話が始まったときから、この2人は静人に影響されて変わってくのかな、って思ってたんですが…。
なんか予想してただけに、拍子抜けかなぁ。
このもやもやスッキリしない気持ちは、そこが原因か。

私自身が、静人の悼みに共感できないから余計そう思うのかも。
「なんでそんなに崇拝しちゃうの?」
「そんなにこの行為って素晴らしいことなの?」って、蒔野達が変わっていく姿を見ながら思っていました。

日常、いろんなところで起こっているたくさんの「死」というものを忘れていくこと。
そのことに罪悪感を感じるのは、なんかちょっと違うというか…。
確かに新聞で報道されている死とか、そういうものに対する関心て、低い。
私も、人が一人亡くなったのに、報道を聞いても、ひどい事件だなとかそのときは思うかもしれないけど、長いこと覚えていることはない。
でもそれって、しょうがないことだと思う。
一人ひとりのことを覚えているのはどう考えたって無理。
もともとTVや新聞というメディアは私達の情報処理能力をはるかに越える情報を私達に提供しているわけで、それに対していちいち反応することは不可能だと思う。
私が平穏に暮らしている裏で、そうやって尊い命が失われてしまっているということを、ちゃんと意識していれば、私は亡くなった方々を無視していることにはならないと思います。

わりと静人に否定的なのは、私は静人に悼まれたくないなって思ったからなんです。
わかったふりをされるのが嫌です。すごく。
自分のいいところばっかり挙げられて、その適当で勝手なイメージでずっと誰かの心の中に刻まれるなんて真っ平です。
…私ってひねくれてるのかな。

私は今、生きています。
私の周りでは時間がどんどん過ぎていきます。
その中で、亡くなった方のことを常に意識し続けることは無理だと思います。
常に意識して忘れないことが普通で、忘れていくことが罪ならば、お盆とかわざわざ作る必要ないと思うし…。
なんていうか…色んな記念日と一緒で、「覚えておかなくちゃ」と義務の気持ちが出てきた時点で、本質を見失っている気がします。


唯一、巡子の章は感動しました。
思わず涙ぐんでしまいました。
死がどんどん、じわじわ迫ってくる様子はすごくリアルで…。
自分の死期がわかることってどうなんだろうな。
確かに誰にも挨拶できずに事故で死ぬより、マシなのかもしれない。
巡子の死との付き合いかたとか、受け止め方は、見習いたいと思いました。


色々いいましたが、結局死との付き合い方は自分自身で模索するしかないなって思います。
だから、批判するつもりはないです。
共感は、できないんですけど…。

ああ、なんだか、物語を読んだというより、価値観に触れたという感じ。

読了日:2009/3/21
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コメント

こんばんは。
おぉ、初読みだったんですね。
共感できないことに心配しましたが、巡子の章で感動されてて安心しました。
死生観について、考え込まれたことが記事で、よくわかりました。
そうして考えることが、この本の目的のひとつだったのかもです。
なので、価値観に触れた感じというのは、とてもシンプルな、いい感想と思います。

>藍色さん
名前だけは前々から知ってたんですけどね~、なかなか手が出ませんでした(^_^;)
巡子が自分が病気で辛いはずなのに、それ以上に鷹彦や美汐のことを想う姿に胸がいっぱいになりました(>_<)
ぐるぐるいろんなことを考えてしまって…結局こういうことにすぐには答えって出ない、ってところに落ち着きました。もっと自分が死に近づいたら、何か別の視点が生まれてくるのかなとも思います。

こんにちは~♪私も天童作品初読みでした。すごく重たい話を書く作家さんというイメージが強くてなかなか手が伸びなくって。(^^;ゞ
そして、私も同じく共感できませんでした。私は悼む行為そのものが全くダメだったのですが、爽さんの感想を読んでいると色々思い出してくるものが。(苦笑)確かにあの2人が最初胡散臭いと思っていたのに、美化・聖人化するくらいに考えが変わってしまうのもちょっと変だと思うし・・・

>、「覚えておかなくちゃ」と義務の気持ちが出てきた時点で、本質を見失っている気がします。
これを読んで膝をポンと打ちました。そうですよね。忘れちゃう私がおかしいのか?とか思いましたけど、人間って忘れてしまう生き物だし、常に死者と向き合っていると今生きているということを捨ててしまうことのようにも思えてしまうし。ほどよく忘れてしかるべき時にちゃんと思い出して供養するのが死者とのいい向き合い方かなぁと私は思いました。
私も巡子の章はすごく感動したし涙ぐみました。この部分はいいんだけど、全体として考えるとやっぱり共感はできないかなと。(^^;
こういうお話が好きな人も多いんだろうとは思うのですけどもね~(^^;ゞ

>板栗香さん
こんにちは!
板栗香さんも初読みでしたか~。でも天童作品へのイメージは真逆だったんですね(笑)

結局、最後はみんないい人になってしまうのが、どうにも納得できなかったです(>_<)せっかく色んな人からの視点で書いているのだから、最後まで否定的な人がいたってよかったと思うんですよね~。
やはり静人が聖人化されていくのも、ちょっと違うな~って思ってしまいましたし(^_^;)

忘れることで色々バランスを保っていることも多いと思います。
なんだか、結局は生きていても亡くなっていても、人付き合いは距離のとり方が大事なのかなと思いました。死者を悼むことも大切ですが、そのせいで自分の生きている今の時間を縛られたくないなと思いますね~。

巡子の章は死が迫ってくる様子がすごくリアルでしたねー。
だからこそ胸に迫ってくるものが大きかったのだと思います。

好みが分かれる作品ですね。
好きな人はきっとどっぷりはまれるお話だと思いますし^^
私はわりとダーク系が好きなので、ちょっと物足りなかったですね~。

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