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ゴールデンスランバー

2008–05–14 (Wed) 19:24
ゴールデンスランバーゴールデンスランバー
(2007/11/29)
伊坂 幸太郎

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善良でただの一般市民だったはずの男に、空前絶後の大事件が襲い掛かる――。突然に大統領暗殺の罪をきせられた男・青柳雅春は、身に覚えのない事態に戸惑いながらも、仙台中をひたすら逃亡することになる。異常に責めたて、追跡してくる警察、軽薄な発言と過剰な報道で事件をあおるマスコミ、傍観する市民…。井坂幸太郎的・最上級エンターテイメント作品がここに。

えーとまず、2008年度本屋大賞受賞おめでとうございます~。
本のカバーにも書いてありましたが、この本のコンセプトが「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」ってことらしいですね。
そりゃとるよ、本屋大賞(笑)
普通に書いてあれだけ人気の伊坂幸太郎が、娯楽小説に徹して外すわけがない!
…映像化はいつでしょうねー(笑)
あ、でも政治批判入ってるからそう簡単には映画化されないかな?
アメリカとかうるさそうだもんね…。

さっさと感想に移ります(笑)

なんのかんのと前評判がうるさくて、過度の期待を寄せずにはいられなかったのですが、期待を裏切らずよかったです。
伊坂幸太郎はなんと言ってもキャラ!
およびそのキャラたちのセリフ!
そして、キレイに回収されていく伏線!
この物語に限ったことではないですが、伊坂幸太郎の小説は近未来型流線型フォルムを連想させます(笑)
まあつまりは無駄がないってことなんですが(そう言え)。
読み始めたときは樋口晴子も保土ヶ谷康志も今後出てくると思ってましたが、キルオまで出てきたのは不意打ちでした。ここでこいつが出てくるのか!と。

あと、伊坂小説の女のキャラクターが好きです。
なんかこう、みんな神経太いんですよね(笑)
4歳の七美まであんなんですからね!
晴子の「行け、青柳屋」、めちゃめちゃかっこよかったですし。

こういう鬼ごっこゲーム(?)みたいな小説って、大概追う側と追われる側が交互に書かれて、どっちも譲らない、みたいな展開が多いのかなって思うんですが、これは見事に追われる側だけですね。
そしてそのことが、政府という、庶民が直接感じられない巨大な権力についての恐怖感を煽ります。
追う側がめちゃくちゃ、胡散臭い。街中で発砲、市民を銃殺、何でもあり。
でもただそれを、軽い小説だけのジョークとして流せないあたり、ちょっと怖い。
むしろ、ありそうだ。マジで。

私たちが見ているのはテレビを通してみている情報だけだし、その情報がどれだけゆがんでいるかなんか、当事者しか分からない。
青柳雅春が降伏をしようと必死で考えをめぐらせているとき、近所ではいつもどおり新聞配達が行われていた。そのときの青柳雅春以外の世界は、いたって普通の、一日がこれから始まるってだけ。
だから、私がこうして普通に暮らしている裏で、誰かが命からがら逃げ回っている可能性だってある。
そんなことしょっちゅう思ってたら、なんも信じられないんだけどさ。

「どうせ、やってないんだろ?」
って言って手を貸してくれる人たちは、そんな立派な人たちってわけじゃない。
樋口晴子はただの元カノだし、キルオなんて連続殺人犯だし、凛香は整形アイドルだし、保土ヶ谷康志は裏家業の人間だし。
一般的に見たら犯罪者の人間が、無罪のか弱い市民を守っている。
この間読んだ「悪人」でも思ったけど、誰が悪人かなんて、きっと誰も決められない。
犯罪者と世間から見放されたやつが実際にそうなのかわからないし、市民を守ってくれると思っていた警察が本当に尊い機関なのかなんてわからない。
繰り返しになりますが、これは完全なるフィクションだけど、フィクションだからといって流せません。


「事件」を読んでから「事件の視聴者」「事件から20年後」を読むと色々面白いですね。
読み返して近藤守の株が上がりました(笑)

結局濡れ衣は晴れず、青柳雅春は顔を変え、人生を狂わされたまま終焉を迎えますが、でも、絶望ではない。
あたたかなラスト。
最後の「たいへんよくできました」には胸がじーんとしました。

この作品、伊坂幸太郎の最高傑作という人が多いけど、私はほかとあまり変わらなかったなーと思ってます。
伊坂幸太郎ワールドっていうのが強すぎて、作品ごとっていうより、「伊坂幸太郎」が面白いって感じで捉えちゃってるからだと思うのですが。

伊坂作品は根っからの極悪人が出てこないので、安心して読めてよいです。
今読破している予約本・ファンタジーシリーズたちが片付いたら、もうちょっとはじめのほうの伊坂作品にも手を出してみようかなー。

読了日:2008/5/4
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コメント

爽さんこんばんは♪
>伊坂幸太郎ワールドっていうのが強すぎて、作品ごとっていうより、「伊坂幸太郎」が面白いって感じで捉えちゃってる
同感でした。やぎっちょもあまり他の作品と変わらなかったです。ただ読み終わって数ヶ月経ってみると、余韻が長い気がしますよ★

こんばんは。
伊坂さんらしいエンターテインメント作品、本屋大賞も取れてよかったです。
ごくごくささいな繋がりが、窮地に陥った一人の人間の活路を生み出す様子。
信頼が伊坂さんらしい筆致で描かれていましたね。
とてもあたたかい気持ちになれました。

>やぎっちょさん
こんにちはー☆
もう、「SF」とか「ミステリ」とかと同列な感じで「伊坂幸太郎」というひとつのジャンルだと思っています(笑)
余韻ですかー、なるほど。基本的に伊坂作品てインパクトが強いので、スパッと読み終われる印象ですが、これはちょっと物悲しいというかそういうものが残る気がします。まさに夕暮れ時にちょっと寂しくなる、みたいな。

>藍色さん
こんにちは♪
まさに伊坂さんらしさ全開でしたね!どこにも手を抜いてないから、どこも目が離せない感じでした。
小さな力が大きな権力に立ち向かう姿は見ていて爽快でした。
でも、隠蔽しようとする政府だけではなく、TVで簡単に煽られてしまう傍観者の市民にも問題はあるのではないか、とも思ってしまいました。

最後は、やや物悲しいけど、絶望ではないところに伊坂さんらしさを感じました。

伊坂作品って、根っからの悪人が出てこないというか、悪人の定義がすごく伊坂さん的って感じがします。泥棒が好きなキャラになってしまったりするし・・。
キャラのおもしろさに、伏線の回収のうまさ、そしてそれ以上に暖かな読後感がよかった読み応えのある1冊でした。
でもこういうことってありそうで、怖かったです。無関心でいると本当にこういうことになっちゃうかも・・なんて思いました。

juneさん、こんばんは~☆
>伊坂作品って、根っからの悪人が出てこない
同感です。なんか「自分流」を貫いている人が多いので、それが結果的に悪いことに繋がってても悪いことしてるように見えないんですよね~。
「事件の視聴者」で語られる視聴者の様子は、全く違和感がなくて、同じことが起こったらこういうふうになってしまうんだろうな、って思うと、やっぱりいけないなって思いました。この「怖い」って感じた気持ち、忘れずにいたいです。

伊坂先生の作品の中でミステリーという視点では「重力ピエロ」と1,2を争うほど面白い作品でした。
もし自分が青柳だったら、友達が青柳だったら、私に手助けしてくれる友達がどれだけいて、私は友達をどれだけ信じて助けてあげられるだろうと思いました。また、今ももしかしたら青柳みたいになってる人がいるかもしれない、と思うと怖くなりました。
それでも読後はスッキリできるところがさすがでした。

「重力ピエロ」は読んだことがないのですが、これと競うくらいならなかなか面白そうですね。今度読んでみます^^
なるほど…私は視聴者の無関心とか、そういうところに重点を置いて読んだんですが、もっと身近な問題として捉えることもできますね。もし自分が青柳の立場だったら…と考えると、あそこまで協力者を得られるかどうか、確かに不安です…。
青柳は結局、世間の多くの人の誤解をとくことはできなかったけれど、最後の最後、晴子だけには隠れた自分を見つけてもらえた。もし、自分の身近な人が青柳みたいになってしまったとき、最後の最後までその人を信じていられる人間でいたいな、と思います。
読後の温かさは絶妙ですね。あのちょっと切ない感じがいい味だしてます^^

こんばんわ。TBさせていただきました。
面白かったですね~。
青柳が逃げているのをドキドキしながら読んでいました。
何でこんな良い人が狙われなきゃいけないんだろうと思いながら。
最後は感動しましたね。

>苗坊さん
こんばんは!コメントありがとうございます^^
TBのほうは届いていないようです(>_<)よろしければもう一度送ってみていただけますか?

青柳が逃げているときは、すごく理不尽だ、警察何考えてんだー!って腹立てて読んでたような気がします(笑)そして、どっちかって言うとハラハラドキドキっていうより、ドキドキワクワクって感じのドキドキで読んでました(←擬音多すぎ)。
次にどんな助け舟が来るの?!とか、どんなふうに事態を収束させるんだろう!とか、予測不可能な様子が面白かったです。

今まで理不尽なことだらけだったものだから、温かいラストが余計に胸に沁みましたよね~。

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