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悪人 吉田修一

2008–05–02 (Fri) 09:53
悪人悪人
(2007/04/06)
吉田 修一

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福岡と佐賀の県境にある三瀬峠。昼間でも薄暗いこの峠で、一人の女が絞殺された。彼女は恋人ができない寂しさから、出会い系サイトで知り合った男との遊びに夢中になっていた。彼女を殺したのも、その中の一人だ。世間は犯人を責めたてるのと同様に彼女のことも軽蔑した。しかし、彼女が殺された原因は一体なんだったのか?「悪人」とはいったい誰だ?社会に蔓延する「悪意」について問いかける、長編小説。

これも「メタボラ」同様朝日新聞連載の小説だったそうですね。
朝日新聞とってるのに単行本になるまで全く知りませんでした。
うーむ、盲点。

しかしこの装丁!目立つったら。
やぎっちょさんも書いてたけど、ホント悪そうな装丁ですよね~(笑)
めっちゃひねくれてる感じ。
図書館で借りた本はブックカバーかけないので、電車の中とかでこのままの状態で読んでました。
周りの人たち、びっくりしてたかもな~(^_^;)

吉田修一は「7月24日通り」に次ぐ2作目。
「7月24日通り」がダメでその後は読んでなかったんですけど、本屋大賞候補とかダ・ヴィンチのプラチナ本とかにノミネートされたら、ミーハーな私はすぐ読みたくなっちゃうんですよね…。

結論を申しますと、これはずいぶん読みやすかった!
だいぶ分厚いんですが、大した苦労もなく読めました。
電車の中で読んだから手首は痛くなったけど(笑)
ひとつの事件をいろんな人から見ていく形式は、宮部みゆきや東野圭吾を思い出す感じですね。
「理由」とちょっと似てたかな。


誰が「悪人」なのか?
普通に見たらそれはもちろん犯人の清水裕一なのだけど、佳乃や増尾に全く非がないかといえば、そんなこともない。
裕一と逃亡生活を共にした馬込光代は、裕一につれまわした被害者なのか、殺人の罪に蓋をして裕一の罪を重くした共犯者なのか。

戦争中の英雄が、ころりと大量殺人犯になってしまうように、だれが悪人なのか、という問題は、ケースバイケースで変化してしまうことなのではないか、と思う。

結局裕一は幸せになりたかっただけなんですよね。
人並みに恋をして、誰かを愛して、誰かに愛されたかった。
ただそれだけ。

「どっちも被害者にはなれんたい」
という裕一のセリフが印象的。
私は、裕一の最後の行動は、光代を自分の道連れにしないための、裕一の優しさだと思うんです。
男の妙なプライドといえなくもないけど、そういう優しさを見せられる人間が、真の悪人とは思えない。
だからって佳乃を殺したことを肯定する気はないんですけど…。

ぱっと見、いいことをしているようでも、その裏では何かよからぬことを考えてやっていれば、それは「悪」という定義におさまる行為だし、またその逆もありえる。
なにが善で何が悪なのかは、その状況でしか判断できない。

答案の丸付けをするみたいに善悪を判断していたら、それは必ず間違いを引き起こす。
それはとても怖いことだと、改めて思った。

読後はぜんぜんすっきりしないんですけど、これは、すっきりさせるべきではないなぁと思う。
すっきりさせてしまうと、そこで終わってしまうから。
これを本の中だけの問題にしてはダメ、そんな気がする。

読了:2008/4/17
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コメント

まったくすっきりしない読後感でした。
でもおっしゃるようにそこでおしまいにしてしまってはいけないのでしょうね。

コメントありがとうございます。
すっきり納得して一件落着しちゃうと、あんまり印象に残らないんですよね…。それだけ作者はこのテーマを読者に考えてほしいんだなっていうのが伝わってきます。

さまざまな角度から、見る人によって変わる人の姿。
背景が詳しく語られて、浮き彫りになってくる佳乃、祐一たちの違う側面。
悪人とは誰なのか、考えさせられましたね。

藍色さん、コメントありがとうございます。
本当に、物事も人も、見る側面をちょっと変えるだけでどんな姿にも変わってしまう、っていうのをまざまざと思い知らされた感じです。
悪人って誰なのか、読み終わっても結構ぐるぐると引きずっています。

私も吉田作品は、以前数作読んでみたんですがあまり合わなくて・・・しばらく遠ざかっていたんですが、これは読みやすかったです~♪
いわゆる法を犯した人だけが悪人というわけではなくて・・・なんか色々と考え込んでしまいました。読後感がすっきりするという本ではないですが、色々と物事を考えさせてくれるこういう読書は好きです。(^^ゞ

板栗香さん、こんにちは~。
私、一番はじめに読んだ作品が合わないと、その作家さんの本に全く手を出さなくなってしまうので…これはちゃんと読んでよかったです☆
「悪人」の定義を考えさせられる話でしたね~。「いい読書」って、読んだ後に自分のことを振り返ったり、登場人物のその後に想いをはせたりできる読書だと思うので、色々考える読書、私も好きです♪

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