スポンサーサイト

--–--–-- (--) --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

太陽の庭 宮木あや子

2010–12–26 (Sun) 11:46
太陽の庭太陽の庭
(2009/11/26)
宮木 あや子

商品詳細を見る
永代院―それは日本にあって日本にない、一般人には全く知らされていない屋敷である。中では永代由継が大勢の女を囲って、次代の跡継ぎを選んで死んでいく。しかしその閉じられたその屋敷は、あるきっかけによって脆くも崩れていく…。永代院という神の社に翻弄される人々を描いた連作短編集。


雨の塔』の続編です(たぶん)。陸の孤島だったあの学校の存在を理解した。三島と鞠絵は遠い親戚なんでしょうね。

前回に引き続き装丁が素敵!
鳩山郁子さんのこの画、めちゃくちゃ雰囲気にあってて素晴らしいです。

「野薔薇」(駒也)、「すみれ」(葵)、「ウツボカズラ」(和琴)、「太陽の庭」(柿生・山下)、「聖母」(栄子)の連作5作。
いっつも閉じた世界を内側から書いているイメージだったんですが、これは外からの視線が入ってきて新鮮。
これに関しては宮木さんの簡単なエッセイを見つけたので貼っておきます。→RENZABUROスペシャルエッセイ
閉じた世界の終わり。
なんかなるほど、って思ってしまった。

なんだろうなー、宮木作品って、どうしても女のための小説だなって感じがする。
女性が胸の奥にくすぶり続けている奇妙な情熱を引っ張りあげてきたような。


閉じたものを見つけると、人はそれをこじ開けようとする。
わからないままにしておく恐怖感に勝てないから。
それってどんなものに対してもそうで、同時にわからないものに対しての拒否反応とか排他的意識ってすごい強い。
放っておく、ってことがもうできなくなってしまっている。

今の人たちって、公開されることになれてしまっているのかなと思いました。
ちょっと調べればわからないことは簡単にわかるようになってしまったからこそ、わからない状態での我慢がきかない。
外の人々は、永代院を焼きおとすけれど、そのあとは何もしない。
暴くだけ暴いてその責任を取らない。
そういう無責任な好奇心を満たすために犠牲になったものがたくさんあるような気がします。

永代院が異常なことは確かなんだけど、それを「異常」だと非難できるほど外の人が「正常」かと言われれば、そうとは言い切れないんじゃないかと思います。

なんか、苦しかった。
閉鎖の世界は終わったはずなのに、息ができなくなりそうな閉塞感はつきまとうんだな、と思った。



読了日:2010/6/18
スポンサーサイト

泥ぞつもりて 宮木あや子

2009–02–03 (Tue) 01:05
泥(こひ)ぞつもりて泥(こひ)ぞつもりて
(2008/11/26)
宮木 あや子

商品詳細を見る
平安の世、朝廷では権力を手に入れようと様々な者の想いが渦巻いていた。幼き帝の裏で糸を引く摂政たち。権力争いのために利用される姫たち。大勢の人間と、華やかな行事に彩られた宮中のイメージとは裏腹に、常に孤独を感じる彼らの想いとは。


「泥(こひ)ぞつもりて」「凍(こほ)れる涙」「東風(こち)吹かば」の3編。おもな登場人物は藤原高子(ふじわらの・たかいこ)、貞明(さだあきら)、源益(みなもとの・すすむ)、藤原基経(ふじわらの・もとつね)、喧子(けんし)など。主人公はいなくて、連作というより歴史の流れをふっと見つめる、平安絵巻が文章になったような感じ。

おそらく「のぼうの城」を読んだときも同じようなことを言っていたと思いますが、私はとにかく漢字が苦手です。(←書道習っているのにね…(-_-;))
そんなわけで、ちょっと難しい、今の時代にはあまり見かけないような読み方をされると、簡単に参ってしまいますorz
そして宮中の位とかしきたりとか、源氏物語でやったはずのことをキレイさっぱり忘れていたため、始めは理解するのが大変でした…(>_<)
さすがに一章半ばくらいでは慣れてきましたけど。

自然の景色の美しさが、いいです。
着物のすれる音が聞こえてきそうな静寂と、絵画を見たときのような鮮やかさがあります。
それと、そういう穏やかなところだけじゃなくて、血がぱっと飛び散ったときの情景のような、ちょっと狂気をはらんだような艶やかさとか、高子が人ではない、なにか執念みたいなものを産んだときの醜悪さとか、そういうちょっと怖いものにも惹かれます。

今回は切ないとか苦しいとかあまり思わなくて、物語全体に漂う倦怠感みたいなものにやられたーって感じ…。
いつも宮木作品読んでると、自由恋愛出来て幸せだなって思うんですけど、今回は一緒にぐったりしてしまいました。
もういい…って(-_-;)
読むのに疲れたというか、自分の生活全体についてね。
何でだろ。そんなに疲れていたわけではないのに。


キャラの中では喧子が好きです。
あの堂々としていて、色んなものを俯瞰している感じが。
そういや東風って誰なのかなぁってずっと考えてたんですが…、個人的には喧子がひっそりと産んだ清和天皇のお子かな?って思いました。
はじめ実体のない霊みたいなものかなと思ったんですが…どうもしっくりこなかったので。

宮木ワールドのこの危うさが好きです。
脆くて儚くて、なんか惹かれます。

読了日:2009/1/14

群青 宮木あや子

2008–12–14 (Sun) 12:39
群青 (shogakukan paperbacks)群青 (shogakukan paperbacks)
(2008/09/30)
宮木 あや子

商品詳細を見る
ピアニストの由起子は、療養のために南風原島までやってきた。時が止まったように穏やかな島で、彼女は島の漁師・龍二とすべてを捨てて恋に落ちる。子供は望めないと思われていた由起子がほとんど命と引き換えに産んだ娘・涼子は、二人の幼馴染・一也と大介と共にのびのびと成長していくが…。大人と子供を隔てる薄いが破れぬ壁に翻弄される若い性を、宮木あや子独特の世界観で描く。


映画原作のために書いた作品だそうで、宮木あや子オリジナル、ってわけじゃないそうなんですが、それでもこの色は宮木作品ですね。
当然キャストも決まっていて、長澤まさみが涼子だそうです。
あまり詳しくないのでほかはキャスト見ても誰かわからなかったんですが、龍二は佐々木蔵之介らしいです。
ええー、なんか…漁師って感じではないんですけども!
繊細そうな感じはあるが…佐藤浩市とかの方がそれっぽい気が。
「海猫」のイメージが強いだけ?


いやしかし、今回も見事に閉じた世界でした。
でも、異世界、って感じなかったのは初めてだなぁ。
時代も場所も現在の自分の座標とクロスするからなー。

止まっている時間を動かすことが、果たして再生につながることなのか、私にはわからない。
ずっと時間が止まっていることが幸せだとは到底思えないけれど、その逆=解決かというと違うんじゃない?って思う。
何が幸せなのか、はっきりしないからなんともいえないんだけど…。

この人の作品は、空気や息遣いがやけによく見えるし聞こえる。
そばで見ているような気にさせるほどの親近感はないのだけれど、自分が透明な第三者になって周りを漂っている感じ。ひたすら傍観者。でもすごく色鮮やかに見える。
立体になった映画を見ているような気分、って言うのが近いかなぁ。

あと、「にじむ」感じ。
曖昧ってほどぼんやりしてないんだけど、輪郭がはっきりもしていない。
和紙の上に落とした色水のような。
自分をはっきり保てないけど、ほかとの混ざりきれない存在。
そんな儚さが漂う。


決してキレイな小説ではないと思う。
でも、どこかやめられない中毒性があるんだよなぁ…。

そんなわけで最近刊行された宮木あや子新刊「泥ぞつもりて」が図書館に届いているらしいので、次はそれですねー。

読了日:2008/11/24

白蝶花 宮木あや子

2008–04–14 (Mon) 11:00
白蝶花白蝶花
(2008/02)
宮木 あや子

商品詳細を見る
抱いて。私を愛した証を私に残して…。戦前から戦後にかけて、抑圧された女たち。徴兵される男たち。水面下で燻りつづける女の一途な想いと艶やかな欲望、決して叶わぬ恋に身を焦がす人々を美しく描いた物語。

装丁が美しい!!私、このさやかさんの色っぽい装画大好きなんです。
「少女七竈と可愛そうな大人」の装画もさやかさんがお描きになってて、読む前にうっとりと表紙を眺めてしまいます。

「天人菊(てんにんぎく)」「凌霄葛(のうぜんかずら)」「乙女椿」「雪割草」の4編。
でも短編集っていうより「乙女椿」がメイン、前2作はプロローグ、後1作は後日談、って感じですね。
「花宵道中」を思い出す、しっとりつややかな愛の物語。
すごく好きな空気です。
前作「雨の塔」がイマイチ…だった私としては嬉しい限り。

「天人菊」
正反対の姉と妹。
何でもそつなくこなす妹の雛代と、彼女が唯一手に入れられなかったものをたやすく手に入れた姉の菊代。
ひとりの人間としての幸せか。
女としての幸せか。
どうしてもどちらか片方を選らばなければいけなくなったとしても、私にはまだ答えを出せない。

「凌霄葛」
私だったら死ぬと思う。
死んで楽になっていたと思う。
自分の親に売られ、本来憎むべき親を生かすために、死ぬよりつらい人生を生き抜いた。
生き続けることは、時に死ぬよりつらいことなのだと、苦しくなった。


「乙女椿」
戦争のやるせなさ。
国民がどうすることもできぬ、諦めにも似た絶望感。
子を身ごもった女の底力。
金さえあれば何でも出来る今と違って、金などあってもなんの足しにもならない時代。
なにもかもが不足した時代で、子を産むということがどれほど大変か、私にはこれを読んでも計り知れない。
今でも子どもを産むということは大変なことだと思う。子を産む女の人の大変さは変わらない。
でも。
でも、人間は満ち足りてしまったら、足りてないときほどの想いを持つことは出来ないんじゃないか。
そう思う。
飢え、乾き、焦燥。
今の時代の人間が忘れてしまったものを、本当にこのまま忘れててしまってもいいのかと思った。

「雪割草」
やっと訪れる女たちの解放。
自分の想いに正直に、素直でいることは、どれほど大変なことなのだろう。


今の時代に繋がってくる作品だったので、今の自分の状況とかも振り返れた気がします。
私はこのままでいいのかなって。
切なくて苦しくて、小さな引っ掻き傷を心の中に残していった話でした。

「吉原」「女子寮」「戦中」と、抑圧された女を書く宮木作品。
この閉塞感、クルシイと思いながらもずるずるとはまっていってしまいます。

読了日:2008/4/8

雨の塔 宮木あや子

2008–02–04 (Mon) 16:25
雨の塔雨の塔
(2007/11)
宮木 あや子

商品詳細を見る
外界から遮断された「陸の孤島」と呼ばれる学校に閉じ込められた4人の少女達。閉じた空間の中で、彼女達は互いに求め合い、傷つけあい、拒絶しつつ、ただ「愛」を求めてもがく。それがどんなにゆがんだ形の愛であっても。孤独と絶望を知る彼女達の向かう先にあるものとはいったいなんなのか・・・?

表紙のとおり、鳥籠の中に捕らえられた姫たちの話。
彼女達は自分の意思では何一つ決定出来ず、時が来たら利用されるひとつの駒でしかない。

前作「花宵道中」は鮮やかで、切なくて、美しかったのだけれど、今作は鮮やかさのかわりに虚無感があった。
読み終わっても、全くとらえどころがない。
空虚だなと。
内容が空虚なのではなく、「空虚さ」をめいっぱい表現した、という感じ。


これは女だけの世界を書いていて、ここに男は必要ない。
まぁいわゆる百合小説といわれる話なのかもしれないけれど、その言葉ひとつで括ってしまってはいけない気がする。

なんというか、百合とかそういうのって、男と女が存在して、そのうえで同性を選んでいるっていう意思があるように思うのですが、これはもう選択する部分が何もなかったように思うんですよ。
彼女達は自分の境遇に絶望し、希望を持たず、常に受動的に生きてきて、愛情とかそういう温かなものは向こうから与えられるくらいしか手に入れることは出来なかったんですよね。
だからたまたま愛を与えられたのが同性の友達で、寄り添える温かなものはそれしかなかったから、彼女達はそれに依存したのだと。
そこに女を愛している、女じゃないとダメだ、という意思はなかったはず。
そういう意味で、ただ単に百合小説というわけではないのでは、と思うのです。


今回は自分の立ち位置がはっきりしていて、感情移入するとか、共感するとかそういうことはほとんどなく、ただ彼らの生活を見つめている傍観者だった、という感じです。
静かに静かに。何の感情もなく、淡々と。


微妙なバランスで回っていた4人の世界は、ちょっとしたきっかけで崩れていく。
その後に待っていた未来にも、特に救いがあるわけではなく、また淡々と世界は回る。
その無常観には、少し見えた希望すら萎えてしまう。
話全体を通して、そんなやるせなさみたいなものを感じた。

花宵道中はとても好きなのだけれど、コレは正直ちょっと合わなかったかなぁと。
女特有の粘性が前面に来ている感じで、ちょっといっぱいいっぱいになってしまいました。
この静かな空気は好もしいんですが・・・。うーん。
とりあえず次も出たら読むつもりでいるので、今度は肌に合ってくれるといいなと思います。

読了日:2008/1/13

花宵道中 宮木あや子

2007–08–19 (Sun) 09:32
花宵道中 花宵道中
宮木 あや子 (2007/02/21)
新潮社
この商品の詳細を見る
江戸吉原の遊女・朝霧は、妹遊女の八津に誘われて行った縁日で、頬に大きな傷がある男・半次郎と出会う。もう一生男への恋心に溺れることなどないと思っていたのに…。彼への想いに気づいてしまったら、もう後戻りはできない…。朝霧の切ない恋を描く表題作『花宵道中』ほか4編の連作式短編をまとめた、甘美で艶やかな女性のための官能小説。
「女による女のためのR-18文学賞」の受賞作。この賞の受賞作はどれか読みたいなって思っていて、タイトルをざっと見たとこ、日本的なムードというか、少ししっとりとした雰囲気に惹かれて、この話に決めました。装丁も素敵ですし!

収録作品は「花宵道中」「薄羽蜉蝣」「青花牡丹」「十六夜時雨」「雪紐観音」の5編で、連作形式になっています。構成がしっかりしていて、読み進めるにつれてどんどん引き込まれていきました。どの話も艶やかで、ただ単に美しいという言葉だけでは表せない魅力を持っているように思います。

この話はジャンルとしては官能小説になるらしいんですが、いやらしい感じなどは微塵もなく、ただただせつなさに胸がいっぱいになります。「花宵道中」のあと「青花牡丹」を読むと、もう苦しくてしょうがないです。ほんとに。半次郎が見つめていたのが、諦めでも絶望でもなく朝霧との明日だったのが、一番胸に響きました。

「十六夜時雨」もいいです。これが豪華絢爛な高級遊女の話だったら、彼らは吉原を飛び出してつかまることもなくめでたしめでたし、で終わったような気がする。身分の低い遊女の八津だからこそのこの結末。ともすればこの世界に憧れてしまいそうな人間に、遊女は商品であり、吉原は決して煌びやかで美しいだけの舞台ではないと冷たく突き放す。これは、作者が願いの叶わなかった遊女たちの心を本当に大切に扱っているからこその結末であるような気がします。

異性を愛すること。一緒にいたいと思うこと。
人間にとってもっとも自然で大切にするべきその気持ちは、彼女たちにとってもっとも抱いてはいけない感情なのです。
心から愛した男に抱かれたい。
女なら当然の願いすら、彼女たちにとっては禁忌なのです。
実際の吉原で、一体何人の遊女たちが叶わぬ恋に泣いてこの世を去ったのか、私は知らないけれども、いつかどこかで今度は自由に人を愛せればいいと、心から願います。

読了日:2007/8/10

 | TOP | 

At first

FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集

管理人の日々のつぶやきと、読んだ本の感想、趣味で作ったハンドメイド小物について綴っています。
更新速度はマイペースですが、情熱が続く限りは続けていくつもりです。よろしくお願いします。

本の感想記事は予告なくネタバレする場合がありますので、未読の方はご注意ください。

初めての方、詳しいことが知りたい方はこちらからお願いします。

Calendar

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

New Entry

Category

New comment

New trackback

Profile

爽

Author:爽
大学生
誕生日:8/13
趣味:読書 アクセサリー作り ショッピング
好きな作家:
有川浩 伊坂幸太郎 桜庭一樹 小路幸也 高楼方子 恒川光太郎 豊島ミホ 梨木香歩 三浦しをん 村山由佳 森見登美彦
好きなモノいろいろ:
りんご 甘いもの 王道 FF7 ドラゴンボール 書道 数学 トロンボーンを吹く 整理整頓 aiko 雑貨屋さんめぐり
得意になりたいこと:
料理全般 カラオケ 語学(特に英語!)車の運転(ナビ含む)

Now reading・・・

Now Reading…
『鍵のない夢を見る』(辻村深月)

Etcetera

ランキングとか同盟とか。

・にほんブログ村
本ブログ
ハンドメイドブログ

0813


Counter

Search

Archives

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。