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千年樹 荻原浩

2007–09–28 (Fri) 01:03
千年樹 千年樹
荻原 浩 (2007/03)
集英社
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その樹は、すべてを見ていた。
戦渦の中、逃げ惑う一人の少年を。愛する人を待ち続けた女郎を。泣く泣くわが子を流さなければならなかった貧家の嫁を…。果てしない時をその身に刻む大木の前で様々な愛憎のドラマを繰り返す人間の姿を綴った、連作短編集。
「萌芽」「瓶詰めの約束」「梢の呼ぶ声」「蝉鳴くや」「夜鳴き鳥」「郭公の巣」「バァバの石段」「落枝」の8篇。どれも樹齢千年といわれる巨大なくすの木のそばで起きた物語を書いています。

感想なんですが、
とにかく暗い。怖い。後味が悪い。
この怖さはミステリというよりもはやホラーです。
「押入れのちよ」と系統が似てます。
この人の作品てそんなに読んでなくて、私はいまいち作風をつかみきれてないんですが、ホントはもっとユーモラスな面白い文章を書く人らしいですね。
作風が違って賛否両論あるそうですが、私は結構この話好きです。鬱になるくらいのこの重さがなんとも。

中でも1番印象的だったのは「郭公の巣」。
重苦しくつらい話ばかりだった中で、やっと救いの結末が待っているかと思いきや、いきなり底まで突き落とされる。
その奇怪さが、怖くて苦々しくて、思わず叫びそうになりました…。
過去の物語のほうも恐ろしい。極限状態になると、人間一体何をするかわかったもんじゃない。
ま、後味はかなりビターですが、嫌いじゃないです。
そういや連作の中で、この「郭公の巣」の登場人物だけ、今までの登場人物と全く関わりがない気がするんですが…私どこかで見落としているのかな?

あと、「萌芽」。
この木の始まりが描かれているんですが、もう誕生からして悲惨な運命を背負ってきているという感じ。
もしかしたら、時々主人公たちが口走る「この樹に精気を吸い取られているのかも」というのはあながち間違いじゃないかもしれない。
絶望の元に根付いた樹は、周りの人間の幸福を吸い取って千年の時を生きてきたのかも。

「バァバの石段」は唯一明るくてほっとする話。自然で、ありのままの人間の気持ちが書かれていて、重い話ばかりの中でやっと一息つけました。

「梢の呼ぶ声」は怖いというより切ない感じです。
いつの時代も女は愛しい人を待っている。
大きな樹の下でいつ現れるともわからぬ恋人を待ち続ける彼女たちが、とても美しく、そして哀しく映りました。


どの話も樹が出てきて、人間のすぐそばで生きている。
でも温かさもコミカルさも全くない。
それが樹という動かない生物に投影された人間の歴史の重さを物語っている気がする。

読むのには気合がいります。
中には目を背けたくなる話もいくつか。
でも秋の夜長にじっくり読むのはなかなかいいかも知れない一冊だと思います。

読了日:2007/9/23
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明日の記憶 荻原浩

2007–06–10 (Sun) 17:45
明日の記憶 明日の記憶
荻原 浩 (2004/10/20)
光文社
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「誰だっけ、ほら、あの人」最近固有名詞が出てこない。ただ疲れているだけだ、寝不足なだけだ…。そう思っているそばから物忘れは激しくなっていく。そんななか不眠症改善のために行った病院ではなんと「若年性アルツハイマー」であると診断される。俺はいつまで俺でいられるのか…。「生きている」とはどういうことか考えさせられる作品。
やっと読めました「明日の記憶」。
映画化されてる作品だし、駆け出しの荻原浩ファンとしては早く読んどきたいなー、と思っていた作品だったのでした。

泣けると評判だったのですが、私は泣けなかったです…。共感できる部分が少なかったから、かな?でもラストはキレイに終わってて、読後感はいいです。

アルツハイマーと認知症の違いっていまいちよくわかってなかったので、まぁ大雑把にですけど違いがわかったのはよかったです。間違った認識っていつトラブルを招くかわからないですしね。

娘や妻の顔まで忘れてしまう、っていうのは、何よりも忘れられた人に残酷な仕打ちですね。自分が父に忘れられたということを想像してみると、ちょっともう耐えられませんもん。
しかし奥さんの枝実子さんはほんとにできた妻ですね。
私は無理です。こんなに尽くせないと思う。

「私」の日記はリアルですね。漢字の変換ミスはまだあるとしても、日記の前文で書いたことが後半でまた出てきたりしたのを見たときには、これを彼が読み返したらどんな風に思うんだろうなぁ…とかって思ってなんか切なくなりました。
でもこの日記って「アルジャーノンに花束を」と似てますね。
ほかの本ブロガーさんも指摘してらっしゃいますけど。
この生ナマしい恐怖や不安は、ある意味ホラーの部類に入るのかもなぁ、なんて思いました。

あ、最後に。
「百夜行」とかもそうでしたけど、どうして映画とかドラマとかになると装丁が変わっちゃうんでしょうね。
基本的に私は、ある作品が映像化されてもまったく別物として認識してるので、そうやってくっつけられることがすごくいやなんですよ。
自分の中にちゃんとその物語のイメージっていうものがあるので、違和感が出てきちゃってダメなんです。
どうにかならないものかな…。

読了:2007/6/6

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